その日、神宮球場は歓喜の声であふれかえっていた。
ヤクルトの若き主砲、村上宗隆が日本人記録である55号ホームランを超えて56本目を放ったのだ。
しかも、その放った場面がシーズン最後の打席でだ。
そう思わせるような場面に、球場内が歓喜とどよめきで沸き返った。
歴史的記録を成し遂げた村上宗隆選手。
この村上選手がどのような結果を出してきたのかを、データなどを基に通算56本塁打の軌跡を追ってみたいと思う。
調べてみると、意外なところで大きなターニングポイントがあったのが彼を変えたのかもしれませんよ。
チーム別対戦成績
まずは各対戦チームの打撃成績は以下のとおり。
対戦チーム | 打率 | 安打数 | ホームラン数 |
巨人 | .264 | 35 | 8 |
DeNA | .333 | 43 | 9 |
中日 | .364 | 50 | 13 |
阪神 | .260 | 30 | 7 |
広島 | .340 | 47 | 13 |
西武 | .444 | 5 | 1 |
日本ハム | .300 | 4 | 1 |
ロッテ | .000 | 0 | 0 |
オリックス | .500 | 6 | 0 |
ソフトバンク | .250 | 5 | 3 |
楽天 | .250 | 5 | 1 |
通算成績 | .318 | 233 | 56 |
歴代投手の被本塁打数
次に歴代投手別の被本塁打数については以下のとおり。
なお、敬称につていは省略します。(2022年8月18日時点)
中日:柳
DeNA:大貫 阪神:青柳
DeNA:上茶谷 広島:九里
DeNA:浜口
巨人:高橋、桜井
広島:森下、大瀬良、高橋昂、中村恭、ターリー、矢崎
阪神:西勇、藤浪、ガルシア
中日:大野雄、勝野、福
DeNA:坂本、平田、伊勢、山崎、入江、ロメロ、飯塚
巨人:メルセデス、戸郷、シューメーカー、畠、高木、サンチェス、デラロサ、ビエイラ、堀田、野上、宮国、平内、戸田、大竹、直江、クロール、ディプラン
広島:床田、ジョンソン、遠藤、ケムナ、中村祐、菊池保、アンダーソン、高橋樹、山口、松本、岡田、中田、ローレンス、スコット
阪神:秋山、岩崎、能見、岩田、守屋、小川、渡辺雄、アルカンタラ、石井大、才木、伊藤将
中日:ロドリゲス、松葉、又吉、祖父江、笠原、岡野、吉見、高橋宏、清水、山井
オリックス:小林、山田
ソフトバンク:和田、千賀、石川、大関、大竹、嘉弥真
ロッテ:佐々木朗
楽天:松井裕、熊原、森原
西武:高橋光、本田、今井、松本直
日本ハム:上沢、北山
野村克也氏との約束
2018年2月、九州学院からヤクルトに入団し、プロ1年目のキャンプを2軍で迎えていた村上は、故・野村克也さんと初対面を果たしていた。
「ID野球」でヤクルトを3度の日本一に導き“ノムさん”と親しまれた名将は、当時18歳の村上にバッティングの奥深さとプロとしての心構えを説いていた。

その時に話していた打撃理論の話はこうだった。
変化球の対応をどうするかだ。
まっすぐ狙って変化球についていければ一番良い。
でもある程度狙わないとついていけない。
配球を読むことだね。
と。
自身も南海ホークス時代に捕手としてホームラン王も撮ったことのある野村氏。
また、監督としても渡り歩いたチームを優勝に導く名監督であった野村氏からの一言。
この一言は当時18歳でプロに飛び込んだ村上選手には、とても大きなアドバイスとなったのだろう。
さらに、野村氏は村上選手に続けてこういった。
とりあえず俺の記録(52本)破れ。
この時、野村氏はすでに見抜いていたのだろう。
この若き村上という選手がいずれ大記録を作るスター選手であること。
日本球界を沸かせるようなビックプレイヤーになることを。
名将野村の目にはそう映ったのかもしれない。

その後、村上選手はホームランを量産。
ついには野村氏の記録を超え、さらには約束をしていた王貞治の日本人記録の55本を超えたのだ。
これにはきっと、天国から見守っていた野村氏も「うんうん」と喜びのうなずきをしていることだろう。
今後も野村氏と交わした大切な金言を胸に秘め、若き主砲は成長をしていくに違いないだろう。
村上宗隆選手の来歴
村上選手の来歴については以下のとおり。

個人プロフィール
- 名前:村上 宗隆(むらかみ むねたか)
- 出身:熊本県熊本市東区
- 年齢:2000年2月2日(22歳)
- 身長:188 cm
- 体重:97kg
選手情報
- 背番号:55
- 投球・打席:右投左打
- ポジション:三塁手、一塁手
- プロ入り:2017年 ドラフト1位
- 初出場:2018年9月16日
経歴
- 九州学院高等学校
- 東京ヤクルトスワローズ (2018 – )
その他の情報
- 弟も自身と同じ「九州学院高等学校」に進学しており、2022年の甲子園で活躍を見せている。
- 過去に5打席連続ホームランという偉業を成し遂げている。*1
- スイングスピードの速さと桁外れの飛距離が特徴。
- 逆方向への長打力を備え、中日の柳裕也は、村上の2019年の成長ぶりを「インコースに落としておけばよかったのに、シーズン途中から肘を畳んで内角を打てるようになった」と村上を評価している。
- 張本勲からも「クラッチヒッターになれるかもしれない」という趣旨の評価をされている。
- 元オリックス・バファローズの西浦颯大とは、小学校時代からの親友でライバル関係にあり、小・中学校では何度も対戦していた。
※1 5打席連続本塁打について
2022年7月31日の阪神タイガース戦(甲子園球場)では、7回表、9回表、延長11回表と3打席連続本塁打を打ち、0-2の劣勢から4-2の逆転勝利に導いた。
その翌々日(8月2日)の中日ドラゴンズ戦(神宮球場)では1回裏の第1打席で右越に38号ソロ本塁打を打ち、NPB史上タイ記録となる4打席連続本塁打を記録。
さらに、3回裏の第2打席では左中間に2打席連続となる39号2点本塁打を放ち、NPB史上初、MLBでも公式記録のない5打席連続本塁打を達成した。
結論
村上選手を調べてみてわかったこと。
- 元々の恵まれた体でありながら、しっかりと弱点を克服し、それを実行できる人物である
- アドバイスを素直に受け入れ、それを自分の糧にして成長できる
- 日頃の練習や様々な人の思いを背に受け、それを力に変えられるパワーを持っている
- 22歳という若さでの偉業を成し遂げたことから、今後の成長も楽しみである
以上の点である。
まずはリーグ優勝を勝ち取って、一安心していることであろう。
また、これまでかかってきた56号という重責も方から落ちたとも思う。
だが、野球はまだまだ続いていく。
この後に控えているのは、クライマックスシリーズ。
そしてそれに勝利することができたのならば日本シリーズが村上選手を待っている。
重責という枷が取れた今、村上選手はこれまでどおりの活躍ができるのか注目が集まるところである。
短期決戦となる今度の試合はこれまでとは雰囲気も状況も変わってくる。
その中で変わらずヤクルトの4番打者としてチームに勝ちに導くことができるのか。
これからも、村上選手の挑戦は続く!